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自家歯牙移植とは
自家歯牙移植とは、歯を失った部分に噛み合わせに機能していない自身の歯を移植する治療方法です。主に親知らずを移植する歯として選択することが多いです。
失った歯を補う治療法には、主に入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つの方法がありますが、「第４の方法」として自家歯牙移植が適用となることもあります。
以下、自家歯牙移植について詳しく解説してきたいと思います。
自家歯牙移植の適用条件
- 不必要な移植歯がある噛み合わせに不要で機能していない移植歯（ドナー歯）が残っているかどうか。主に親知らずがドナー歯として最適な歯になることが多いです。
- 歯根膜が存在していること歯根膜が残っているかどうかで移植の予後が決まります。歯根膜とは、骨と歯を繋いでいる組織のことで再生能力の高い細胞が豊富に含まれています。歯根膜が不十分だと、移植した歯と骨がうまく結合せず、歯が抜け落ちてしまいます。
- 歯と歯根のサイズが合っている移植歯と移植される受容側のサイズや大きさがある程度合っていないと移植の適応範囲外となります。
- 移植歯の歯根が単純である移植歯の歯根が複雑だったり、湾曲していると抜歯時に歯根膜を傷つけてしまう可能性があるため、移植を検討する必要があります。
自家歯牙移植のメリット
- 歯根膜があることで自然な噛み心地を得られる
- 歯根膜がクッションの役割も果たすため、噛む時の力も抑えられる
- 周囲の歯に負担がかからない
- インプラントに比べ、費用負担が少ない。条件によっては、保険適用も可能
自家歯牙移植のデメリット
- 適用条件にあった移植歯がないとできない
- 外科処置が2箇所必要
- 技術的に難しく、予後が不安定
- 移植歯が生着しないことがある
- 40歳以上の方は、成功率が下がる傾向にある
自家歯牙移植の費用に
ついて
自家歯牙移植は保険適用で行えるケースと自費診療になるケースがあります。
保険が適用になる条件として、
- 移植歯が親知らずであること
- 移植をする側（受容側）に歯が残っていて、サイズが合っていること
この２つの条件を満たしていれば保険適用（3割負担）で約1万円程度になります。
これらの条件を満たしていない場合には保険の効かない自費診療となります。費用は110,000円（税込）となります。
＊その後の根管治療や補綴物も自費診療となります。
費用に関しては、事前の検査とカウンセリングにてしっかりとご説明させていただきますので、ご安心ください。
自家歯牙移植のリスクについて
自家歯牙移植の成功率・寿命
自家歯牙移植の成功率は諸説ありますが、５年生存率は約90%と言われています。
この生存率とは、移植した歯が定着していて抜けていないことを指します。ご自身の歯と同様にマイナートラブルは起こりますので、しっかりとしたメンテナンスが必要になってきます。
また、10年以上になってくると、自家歯牙移植よりもインプラントの方が寿命が長いとも言われています。 このあたりもふまえて、担当の先生と事前によく相談されることをお勧めします。
自家歯牙移植の失敗
自家歯牙移植の成功には、まず歯根膜の存在が必要不可欠です。歯根膜がないと移植は失敗に終わります。
それ以外にも自家歯牙移植が失敗に終わる原因として以下のことが挙げられます。
- プラークコントロールが不十分
歯磨きが不十分でプラークコントロールが不良だと、お口の中で感染が生じ、移植した歯が異物として捉えられ、生着しないことがあります。移植前からしっかりとしたプラークコントロールの確立が大切です。
- 顎の骨が少ない歯周病や加齢によって顎の骨が少ないと、移植した歯を支えることができず失敗に繋がります。
- 移植後の固定が不十分移植直後はまだ骨と結合しておらず不安定な状態のため、しっかりと固定します。適切な期間固定をし、安静にすることが大切です。
- 移植後の根管治療が不十分
移植歯は一度抜くため、神経が失われます。そのままにしていると根の中で壊死が起こるため、適切なタイミングで根管治療が必要となります。根管治療の善し悪しも治療の予後に大きく関わってきます。
自家歯牙移植のタイミング
自家歯牙移植を行うタイミングは２つあります。
①抜歯直後の穴に移植
②抜歯後、2週間〜1ヶ月待時して移植
移植歯と移植される側（受容側）のサイズや抜歯窩の感染状態によってどちらのタイミングが適しているかが決まります。患者様一人ひとりの状況を詳しく分析し、最も適切な治療法をご提案させていただきます。
自家歯牙移植の痛み
術中は麻酔をしっかりと効かせるため、痛みは抑えることができます。但し、術後麻酔が切れると、歯を抜いた箇所や移植した箇所に痛みや腫れを生じることがあります。
手術後は、痛み止めと感染予防のための抗生剤を処方致します。痛みや腫れは、通常3-7日程度で落ち着いてくることが多いです。
自家歯牙移植のまとめ
自家歯牙移植は全ての患者様に適用するわけではなく、条件はかなり限られてはいます。 しかしながら、ご自分の歯を使って噛めるという点は、インプラントやブリッジや入れ歯にはない最大のメリットです。
適用条件が合致するようであれば、当院でも積極的にご提案しております。
不明な点やお聞きになりたいこと等ございましたらお気軽に当院までご連絡ください。
