目次
根管治療(根の治療)とは
根管治療(根の治療)とは、深い虫歯などで歯の神経まで炎症や感染が広がってしまった場合に、歯の内部に入った細菌を除去し、痛みや腫れといった症状を取り除く治療です。
根管治療の痛みについて
根管治療前には麻酔をしますので処置中の痛みは和らげることができます。但し、炎症が強い場合、無理に治療をすると痛みや腫れが更に強くなることがあります。
そのような場合、まずは炎症を抑える薬を処方し、落ち着かせてから治療をすることもあります。
術後は歯の神経を触った刺激や細菌叢の変化によって、痛みや腫れが出ることがあります。ほとんどの場合、数日で症状は消えます。また、術後に痛み止めの処方もできますのでご安心ください。
万一、耐えられない痛みが出たり、腫れが引かない場合にはすぐに医院にご連絡ください。
根管治療はしないほうがいい?
しないとどうなる?
根管治療をすると歯を大きく削る必要があり、歯自体も脆くなるため、なるべく根管治療はしないで済むに越したことはないです。
ですので、虫歯が神経に到達する前にいかに進行を食い止めるかが重要です。そのためにも痛くなったら歯医者に行くのではなく、定期的に検診を受けて早期発見、早期治療をするのが良いでしょう。
また、根管治療が必要にも関わらず、治療せず放置してしまうと激しい痛みや腫れを生じることがあり、歯を失う可能性が高まります。実際に、根管治療を中断したり放置してしまったことで抜歯に至るケースはすごく多いです。ご自身の歯を失い、あとあと後悔される方が多いですので、該当される方はすぐに歯科医院にかかられることをオススメします。
根管治療中の仮蓋
根の治療は平均して3-5回の通院が必要です。根の治療中は、汚れが入らないように仮蓋をします。
仮蓋は外れやすいため、固いものや粘着性のある食べ物を避けたり、歯磨きの際も強く磨かないよう注意が必要です。
もしも仮蓋が外れてしまった場合は、医院に連絡し早めに新しい仮蓋をしてもらいましょう。
根管治療の専門医
前述したように、根管治療は非常に難しい治療です。
一般歯科での根管治療が困難な場合や、治療を繰り返しても予後が悪い場合などは根管治療の専門医を紹介させていただくことがあります。
大切な歯を残すための選択肢として、当院では信頼できる根管治療の専門医をご紹介しております。
根管治療の再発を
防ぐためにできること
根管治療は、歯科治療の中でも非常に難易度の高い治療と言えます。
その理由としては、2つあります。
①根の中は非常に複雑な形態をしているため
②お口や唾液の中には常に様々な菌がいて、根管治療ではそれらが根管に入らないよう無菌状態で行う必要があるため
こうした難しいとされる根管治療の再発を防ぎ、成功率を高めるため、以下の取り組みを行っています。
1.マイクロスコープを用いた
精度の高い根管治療
マイクロスコープという大きな顕微鏡を使用することで、約3倍から30倍の拡大視野で見ることができます。根の中は非常に複雑で細かい形態をしており、肉眼ではほとんど見ることができません。高倍率で治療することによって、肉眼では見えなかった細菌や汚れを取り除くことができ、精度の高い治療が可能となります。
2.CTを用いた正確な診断
歯の根の治療において、根の形態や病巣の広がりなどを把握することは治療を成功させる上で非常に大切です。3次元撮影ができるCTの普及により、こうした情報を事前に把握することができ、正確な診断と治療が可能となりました。
また、近年では根管治療のためのCT撮影が保険で算定可能となりました。(一部条件あり)
当院はCTを完備していますので、撮影後すぐに診断・治療を行うことができます。
3.ラバーダムを用いた
無菌状態の根管治療
ラバーダムとは、治療中に唾液や細菌が入らないように薄いゴムのシートを張って治療する歯だけを露出する処置のことを言います。根の治療はいわば感染との戦いです。
ラバーダムを用いて無菌状態で治療することで、根管治療の予後が高まり再発のリスクが軽減します。
4.MTAセメントを用いた根管治療
MTAセメントとは、封鎖性と殺菌性に優れ、近年注目を浴びている歯科材料です。根管充填の際に封鎖性と殺菌性の高いMTAをいれることで細菌の侵入を防ぎ、再発のリスクを減らしてくれます。
ただし、保険の効かない材料となるため自由診療となります。
費用 | 5,500円(税込)/1根管あたり |
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根管治療の流れ
- 虫歯を取り除きます
- 細菌感染した神経を取り除きます
- 薬液による根管内の洗浄
- 細菌が入らないように1回の治療ごとに仮蓋をします
- 根管充填②③④を繰り返し、根管内の清掃、洗浄が済んだら再感染を防ぐために防腐剤を詰めます
- 土台と被せ物再感染と破折を防ぐためにコアという土台を立て、その上から被せ物を入れて治療は終わりです。
根管治療の
費用・回数・期間
当院の根管治療は保険適用
当院の根管治療は基本的に保険適用内で行うことが可能で、3割負担の場合、費用は約3,000円〜4,000円になります。
*通院回数によって多少の金額の違いがあります。
根の状態が複雑な場合には、3次元的な情報を得るためにCT撮影を行います。その場合、約3,500円ほど費用がかかります。
また、根尖が破壊されているなど、通常の根管充填が難しい場合はMTAセメントを用いた治療をオススメします。
MTAセメントは自費診療となります。使用する場合は別途費用が5,500円(1根管あたり)かかります。
根管治療の回数・期間
根管治療は本当に難しい治療です。それは根管の形や状況が1本1本違うからです。
枝分かれしていたり、曲がっていたり、細かったり、炎症が引かないetc…
根管の形や状況により、回数や期間は個人差があります。
平均して約3~5回の通院で約1〜1.5ヶ月程度が目安となります。
また、治療間隔が空いてしまうと細菌が侵入し、再感染の恐れがあります。治療の頻度は週に1回程度が良いでしょう。
根管治療の症例
case1
治療前の写真
治療後の写真
主訴 | 左下奥歯が何もしなくても痛い |
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治療期間 | 約1ヶ月(来院回数3回) |
治療費 | 保険診療 約3,000円 |
治療内容 | 左下6番の根管治療。ラバーダムにて防湿を行い、マイクロスコープを用いて治療を行った。 |
治療のリスク | ・治療の刺激により、術後痛みや腫れがでる可能性があります。 ・器具が根っこの中で破折する可能性があります。 ・複雑な神経の治療では、大学病院もしくは専門医による治療が必要となることがあります。 ・予後が不良の場合には、抜歯になることがあります。 |
case2
治療前の写真
治療後の写真
主訴 | 右下奥歯が冷たいものや温かいものでしみる |
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治療期間 | 約1ヶ月(来院回数3回) |
治療費 | 保険診療 約3,000円 |
治療内容 | 右下6番の根管治療。ラバーダムにて防湿を行い、マイクロスコープを用いて治療を行った。 |
治療のリスク | ・術後に痛みや腫れがでる可能性があります。 ・治療中の仮蓋は外れやすいため、注意が必要です。 ・器具が根っこの中で破折する可能性があります。 ・難治性の場合、大学病院もしくは専門医をご紹介させて頂くことがございます。 ・予後が不良の場合には、抜歯になることがあります。 |
case3
治療前の写真
治療後の写真
主訴 | 右下奥歯が噛むと痛む |
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治療期間 | 約1ヶ月(来院回数3回) |
治療費 | 保険診療 約3,000円 |
治療内容 | 右下7番の根管治療。 虫歯を完全に取り切り、ラバーダム用いて感染のリスクに配慮して施術した。 |
治療のリスク | ・術後に一時的に痛みや腫れがでることがあります。 ・治療中の仮蓋は外れやすいため、注意が必要です。 ・器具が根っこの中で破折する可能性があります。 ・症状が軽減しない場合、大学病院もしくは専門医をご紹介させて頂くことがございます。 ・予後が不良の場合には、抜歯になることがあります。 |